接着剤による接着(2)|セラミックス技術コラム
セラミックス技術コラム
接着剤による接着(2)
有機接着剤による接着
有機接着剤による接着接合は、ボルト、リベットなどの機械的接合や溶接接合とともに、セラミックス-セラミックス、セラミックス-金属、セラミックス-プラスチックスに使用されている。特にエレクトロニクス用セラミックスの接着には、エポキシ系接着剤をはじめ、多くの接着力の強い有機高分子接着剤が開発され、新規な各種接着工法の改善、改良とともに多用されている。
有機接着剤の分類
有機接着剤は使用の瞬間には、流動性のある液体であり、この液状有機接着剤を固化する方法のちがいによって分類すると次のようになる。
- 1)液状モノマーまたはオリゴマー形
熱、光または硬化剤による化学反応によって固化するもの
- ・主として熱により硬化するもの
フェノール系、尿素系、メラミン系
- ・主として硬化剤により硬化するもの
エポキシ系、シリコン系、次世代アクリル系
- ・主として光または電子線により硬化するもの
変性アクリル系
- ・瞬間接着剤
シアノアクリル系
- ・嫌気性接着剤
ジメタクリル系
- 2)溶液またはエマルジョン形
- ・溶媒の蒸発によって固化するもの
溶液形 ゴム系、ポリ酢酸ビニル系
エマルジョン形 ポリ酢酸ビニル系、アクリル系
- 3)熱溶融形接着剤
- ・冷却によって固化するもの
エチレン・酢ビ共重合体
ポリアミド系
各種接着剤の特徴
エンジニアリングセラミックス系の有機接着剤は、主として構造用耐熱接着剤が使用されるが、エレクトロニクス用セラミックス系の有機接着剤は、接着強度以外に、用途に応じた多くの要求特性(耐湿性、耐熱衝撃性、速硬化性など)や機能特性(電気特性、機械特性、絶縁性、導電性、熱伝導性など)が必要となる。これらの諸特性が直接デバイスの性能を左右するので、多品種の接着剤の中から最適なものを選ぶ必要がある。
以下に代表的ないくつかの有機接着剤について特徴を述べる。
エポキシ系接着剤
エポキシ系接着剤は、分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物の総称であり、アミン類や酸無水物などの硬化剤と化学反応させることにより、熱硬化性樹脂とする有機接着剤である。主成分の樹脂は液状から固体まであり、硬化剤の種類も多く、この組み合わせにより多種多様の物性のものを得ることができる。
ほとんどすべての材料に対して優れた接着性を持ち、硬化時の収縮が比較的小さく、耐熱性も良いので、構造用接着剤として、エンジニアリングセラミックスに使用される。
また電気的信頼性も高く、耐湿特性も良好で、要求特性に合わせて自由に変性が可能なので、エレクトロニクスセラミックス用としても欠くことのできない接着剤となっている。
エポキシ系接着剤の性能の良さはその分子構造に基づいており、モデル的には図2.2.2のように示すことができる。
要求に応じて一液硬化タイプのものや低温速硬化タイプのものも開発されている。

図2.2.2 エポキシ系接着剤の構造と物性
表2.2.2 耐熱区分と適応接着剤
温度分布 | 接着剤 |
---|---|
80℃ | エポキシ-ポリアミド、フェノリック、ネオプレン、エポキシ-ナイロン、エポキシ-脂肪族アミン |
150℃ | エポキシ-芳香族アミン、ビニル-フェノリックス |
205℃ | エポキシ-酸無水物、ニトリル-フェノリックス |
260℃ | エポキシ-フェノリックス、エポキシ-ノボラック |
315℃ | シリコーンおよび変性シリコーン |
370℃ | ポリベンズイミダゾール、ポリイミド |
480℃ | ポリイミド(短時間) |
540℃ | ポリベンズイミダゾール(短時間) |
参考文献)セラミックスの接着と接合技術 監修 速水諒三
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