セラミックスの脆さ|セラミックス技術コラム
セラミックス技術コラム
セラミックスの脆さ
構造物設計に信頼性工学が適用されるようになり、かつ、必要最小限の材料を使うという極限設計の考えが広まる中で、構造用材料に対してばらつきの小さい信頼性の高いものが要求されるようになってきた。
ところが、セラミックスは一般にきわめて脆い材料であり、加工し難いうえ、強度のばらつきは大きく、破壊靱性は小さいという、信頼性の面ではまだまだ遅れた材料といわざる得ない段階である。
そのため、構造材料としての用途はおのずと限られてきた。
セラミックスの開発の歴史を振り返るならば、その特徴をよく理解することができる。
セラミックスの理論強度は、その元素結合様式からすると金属結合よりなる金属材料よりも優れているのであるが、実際の衝撃力や応力集中に対してきわめて敏感であるため、構造材料として用途を限らざるをえなかった。
一方、1960年前後より発達してきた破壊力学により、材料の強度を低下させるものは、材料中に含まれる各種の欠陥、およびそれらから生じる亀裂であることが明らかになり、亀裂の挙動に関する研究が盛んに行われるようになった。
そこで、セラミックスにおいても材料内に含まれる欠陥を小さくすることが強度の向上につながるという考えが広まり、原料の微細化や焼結プロセスの改良を推し進めることにより、材料内の欠陥の大きさを制御することが試みられた。
その結果、焼結体の中に含まれる欠陥の大きさを、最大でも数十ミクロン程度にまで抑えることも可能となり、鋼にも劣らないような高強度のファインセラミックスが誕生した。
ところが反面、セラミックスの脆いという性質は相変わらずであった。
すなわち欠陥を小さくすることにより強度を向上させることができたが、脆さの原因である破壊靱性の低さを改善することにはならなかったのである。
現在、セラミックスの破壊靱性を改善する努力が精力的に進められている。
参考文献;セラミックス材料強度学/コロナ社
アスザックにおいても様々な試みで、破壊靱性、強度向上に開発研究を進めています。
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