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分散強化鉄のA3変態の研究 |セラミックス技術コラム

セラミックス技術コラム

分散強化鉄のA3変態の研究

分散強化した鉄のA3変態に伴う体積収縮は、通常の鉄と比べて一般に小さいことが知られている1)。この減少を明落下にするために、A3変態の物理的本性を研究した。分散強化金属は、高温で科学的に安定な多数の微小非金属粒子を含むため、体積変化に対して大きな障害となると考えられる。A3変態は、急速な体積変化を伴うため干渉を受け、その結果によって抑制される。そのため次のような現象が起こる1)。

分散強化鉄のA3変態による収縮は、通常の純鉄と比べてかなり小さい2)。A3変態の後のオーステナイトの熱膨張係数も同様に小さい3)。この場合のA3変態は炭素鋼におけるように一定の温度範囲で起こる。

序論
多数の研究者が分散強化金属の研究を行っている2)~12)。彼らは、冷間加工した分散強化金属は、基相金属の再結晶温度で焼鈍されて軟化しないことを指摘しており、そのような現象は、再結晶温度が上昇するために起こるとしている13)。鉄基の分散強化材においては、しかしながら、A3変態は、再結晶の他に加工軟化後の応力解放と軟化という観点からも考察しなければならない。A3変態時鉄原子の再配列が起こり、フェライト基相に存在する応力は、変態により解放される。ImaiとHirotani1、14)は、冷間加工した分散強化鉄は、A3点以上で焼鈍しても軟化しないこと、およびA3変態による分散強化鉄の収縮は、通常の鉄と比べて小さいことを指摘した。
これらの実験結果を説明するためには、分散強化鉄の本性を明らかにしなければならない。そこで本実験を行った。

実験方法
試料調製
ヘガネス鉄粉(サブシーブ粉)を基相金属として用い、1 μm以下のアルミナを分散粒子として用いた。酸化物粒子は、2週間、湿式ベンゾールボールミルにより微粉砕した。基相金属と分散酸化物粒子の混合には湿式ベンゾールボールミルを用いた。混合時間は、50-70時間を要した。混合粉は、乾燥水素気流中、600℃で1時間、還元処理を施した。
酸化物粒子を混合した鉄粉は、5 t / cm2 の圧力で圧粉し、 圧粉体を1360 ℃、乾燥水素気流中あるいは真空(10 -4 mmHg)中で焼結した。焼結は、ステップ焼結により促進された。

測定
見かけ密度、熱膨張係数、冷間加工後の焼鈍硬さおよび高温X線回折の測定を行った。
見かけ密度は試料表面にシリコングリースを塗布して、水中にて測定した。
その他の測定については、結果の項でその都度述べることにする。


焼結-ケーススタディ 宗宮 重行・守吉 祐介 共編

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